日本ソテツ研究会 Japan Cycad Society のホームページです。

ソテツ栽培方法

正解のない分野であることご了承ください。栽培環境に応じて様々なアレンジがありえます。全般的にソテツは強い植物なので、無茶を含めて工夫の余地がかなりあります。

用土、pH(ペーハー)
軽石質の水はけの良い、水が滞留し続けない用土を好む。
弱酸性が望ましい。自生地では石灰質の土壌に育つソテツ種も多いが栽培の観点では弱酸性が望ましいとの説は強い。
配合の一例
日本の植物園、ボタニスト;鹿沼土単用
大阪屋外鉢植え(筆者);鹿沼土もしくは日向土、小粒軽石7∼8、カナディアンピートモスもしくはココピート2~3。どれもホームセンターで安く簡単に賄えるもの。欧州(温帯)の栽培家に習った配合。
タイの植物園;珪砂とオーキッドバーク、カナディアンピートモス、軽石(3mm~6mm)の同量混合

熱帯雨林の日陰Zamia向け配合の一例
海外の専門家;水苔、ココチップ、小粒軽石を同量配合

鹿沼土、日向土、ピートモス等はほとんど栄養が含まれておらず、元肥の構成によっては要素不足を招くので注意が必要。何れにせよ元肥が必須である。ソテツの植替え当初は根や幹の栄養分を用いるので要素不足の原因が非常にわかりにくい。

好適温度
種によって様々であるが、概ね22℃~32℃の間で継続的な成長を示す(実はCASの繁殖好適温度と概ね一致している)。冬に氷点下の夜が数日ある程度であれば屋外の放置栽培でも越冬できるものもあれば、熱帯性のソテツように寒さに当たると一撃で枯れや成長ストップにつながるものもある。


上記温度帯にあり成長性を維持していて、なおかつ水はけの良い用土であれば、非常に水を好む。

日光
園芸的な観点ではフィルタリングされた光を好む。種によって様々だが全く日焼けしないような種や耐陰性のある種もある。

肥料
非常に窒素分を好み、緩効性肥料が有効である。リン酸、カリはそれほど要求しない。緩効性肥料とはいえ高濃度窒素を連続して用いると応じてマグネシウム、マンガン、鉄等の中量要素、微量要素が不足しやすいので、適宜工夫の必要がある。
ソテツは全種、シアノバクテリアと共生関係を結ぶ能力があり、シアノバクテリアに空気中の窒素分を固定させ自身の栄養とする事ができる。極端に痩せた土壌でも必須要素があればソテツとシアノバクテリアは生き残る事ができる。ただし多肥栽培に比較して成長は遅い。

植替え時期
季節が温暖になり連続した成長を見せる、最高気温が22℃に差し掛かる時期が望ましい。一年のうちでその時期を選べば冬までに十分な根の定着が期待できる。夏の峠を越してから植え替えても多くのソテツは耐えるが、根が定着しないまま冬を迎えて枯れや腐れに繋がることがある。

CAS、害虫
従来より知られている害虫としてはクロマダラソテツシジミがある。食性に偏りがあり、特にCycas を好むようだ。温暖な栽培地で増えると激甚化し手がつけられなくなる。登録農薬としてはトレボンのみであり、他国では有効性が認められているバチルス・チューリンゲンシス農薬等の登録農薬のアップデートが必要だと思われる。
CASについては、日本ももはやCASの繁殖地域であり、栽培地や植物園においては今後適切な管理が必要になると思われる。2023年5月現在、海外で有効性が確認されていて、なおかつ日本で認可されている登録農薬は存在しない。氷点下でも越冬し、根にも幹にも巣食い、山火事にさえ適応性を示し、天敵もいない、エリアを跨いだ大規模な取引も規制されていない。植物園や庭園での管理においてでさえ非常に危険な状態が今後続く事を指摘したい。

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