最終更新: htakanashi 2023年05月01日(月) 06:39:19履歴
CASとは、ソテツを枯死に至らしめる東南アジア原産のカイガラムシである。
学名Aulacaspis yasumatsui
英語名Cycad Aulacaspis Scale(通称CAS)
和名ソテツシロカイガラムシ(後述の時広五朗による)
CASによるソテツの枯れ[*](奄美市、撮影内山大輔)
CASによるソテツの枯れ[*][*](台中市、撮影Eric Lin)
顕微鏡写真[*](撮影高梨裕行)
1972年にタイで初めてCycas revoluta上で発見され、1977年に高木貞夫によって記載された[1]。その後他の東南アジア諸国でも観察され、Cycas属の害虫として認識されるようになった。
1994年にフロリダ州マイアミに持ち込まれたCASは、以後広く蔓延するようになり [2]、1996年にはこの害虫はCycas属にとって致命的な脅威と認識されていた [3]。フロリダでは、この害虫を防除するための一般的な対策は効果がなく、この害虫は急速に侵入範囲を拡大した[4]。
日本においてのCASの初見は2005年4月21日、台湾より門司港に到着した台湾産ソテツ苗木から検出されたことが時広五朗により報告されており(同定は高木貞夫による)、時広は警告的レポートを残している。[5]
日本初の生息確認としては、2021年から2022年にかけて奄美大島山羊島周辺のCycas revoluta群生枯死が行政に認知されており、鹿児島県森林技術総合センターは調査結果として枯死の原因であるカイガラムシを2022年11月29日Aulacaspis yasumatsuiと同定 、12月5日に国内での生息初確認としている。[6]
またそれに先立って集団枯死を行政に対して報告していた内山大輔(奄美市在住)、現在日本ソテツ研究会会長である高梨裕行(筆者)(大阪市在住)が同年11月20日に高木貞夫博士(記載者)に提出したサンプルでもって、2022年11月28日にAulacaspis yasumatsuiであることが判明している。
なお、時広五朗が報告した際のサンプルと今回の奄美大島の同定作業で用いられたサンプルのCAS個体は形態学的にともに台湾で繁殖している個体の特徴を示しており、台湾から輸入されたソテツにCASが混入していた蓋然性が高い事が示唆[高木]されている。
沖縄本島においても2023年3月に国頭村内で生息が確認されている。[7]該当記事によると県は「「アウラカスピス―」を含むカイガラムシの防除方法が確立されていることを強調」とあるが、2023年に至る現在までソテツの伐採を除いてCASの防除方法は確立されていないことは明らかである。
参考文献
[1]Takagi, S.
A new species of Aulacaspis associated with a cycad in Thailand (Homoptera: Coccoidea)
Insecta Matsumaruana New series 1977, 11, 63–72.
[2]IUCN/SSC Cycad Specialist Group – Subgroup on Invasive Pests
Report and Recommendations on Cycad Aulacaspis Scale, Aulacaspis Yasumatsui Takagi (Hemiptera: Diaspididae)
https://www.fs.usda.gov/Internet/FSE_DOCUMENTS/ste...
[3]
Forrest W. Howard, Avas Hamon, Michael Mclaughlin, Thomas Weissling and Si-lin Yang
Aulacaspis yasumatsui (Hemiptera: Sternorrhyncha: Diaspididae), a Scale Insect Pest of Cycads Recently Introduced into Florida
https://www.jstor.org/stable/3495833
[4]
T. J. Weissling, F. W. Howard, and A. B. Hamon
CYCAD AULACASPIS SCALE, AULACASPIS YASUMATSUI TAKAGI (INSECTA: HEMIPTERA: STERNORRHYNCHA: DIASPIDIDAE)
https://edis.ifas.ufl.edu/publication/IN253
[5]
時広五朗
台湾産ソテツ苗木から発見されたソテツシロカイガラムシ(仮称)について
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902...
[6]
森づくり推進課森林技術総合センター
ソテツを加害するカイガラムシAulacaspis yasumatsuiの 国内初確認について(報告)
http://www.kpftc-pref-kagoshima.jp/kadai/Aulacaspi...
[7]
琉球新報2023年03月21日
ソテツを枯らす外来種の害虫、沖縄で初確認 国内で2例目 すでに防除も県が注意呼びかけ
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1680818.html
学名Aulacaspis yasumatsui
英語名Cycad Aulacaspis Scale(通称CAS)
和名ソテツシロカイガラムシ(後述の時広五朗による)
CASによるソテツの枯れ[*](奄美市、撮影内山大輔)
CASによるソテツの枯れ[*][*](台中市、撮影Eric Lin)
顕微鏡写真[*](撮影高梨裕行)
1972年にタイで初めてCycas revoluta上で発見され、1977年に高木貞夫によって記載された[1]。その後他の東南アジア諸国でも観察され、Cycas属の害虫として認識されるようになった。
1994年にフロリダ州マイアミに持ち込まれたCASは、以後広く蔓延するようになり [2]、1996年にはこの害虫はCycas属にとって致命的な脅威と認識されていた [3]。フロリダでは、この害虫を防除するための一般的な対策は効果がなく、この害虫は急速に侵入範囲を拡大した[4]。
日本においてのCASの初見は2005年4月21日、台湾より門司港に到着した台湾産ソテツ苗木から検出されたことが時広五朗により報告されており(同定は高木貞夫による)、時広は警告的レポートを残している。[5]
日本初の生息確認としては、2021年から2022年にかけて奄美大島山羊島周辺のCycas revoluta群生枯死が行政に認知されており、鹿児島県森林技術総合センターは調査結果として枯死の原因であるカイガラムシを2022年11月29日Aulacaspis yasumatsuiと同定 、12月5日に国内での生息初確認としている。[6]
またそれに先立って集団枯死を行政に対して報告していた内山大輔(奄美市在住)、現在日本ソテツ研究会会長である高梨裕行(筆者)(大阪市在住)が同年11月20日に高木貞夫博士(記載者)に提出したサンプルでもって、2022年11月28日にAulacaspis yasumatsuiであることが判明している。
なお、時広五朗が報告した際のサンプルと今回の奄美大島の同定作業で用いられたサンプルのCAS個体は形態学的にともに台湾で繁殖している個体の特徴を示しており、台湾から輸入されたソテツにCASが混入していた蓋然性が高い事が示唆[高木]されている。
沖縄本島においても2023年3月に国頭村内で生息が確認されている。[7]該当記事によると県は「「アウラカスピス―」を含むカイガラムシの防除方法が確立されていることを強調」とあるが、2023年に至る現在までソテツの伐採を除いてCASの防除方法は確立されていないことは明らかである。
参考文献
[1]Takagi, S.
A new species of Aulacaspis associated with a cycad in Thailand (Homoptera: Coccoidea)
Insecta Matsumaruana New series 1977, 11, 63–72.
[2]IUCN/SSC Cycad Specialist Group – Subgroup on Invasive Pests
Report and Recommendations on Cycad Aulacaspis Scale, Aulacaspis Yasumatsui Takagi (Hemiptera: Diaspididae)
https://www.fs.usda.gov/Internet/FSE_DOCUMENTS/ste...
[3]
Forrest W. Howard, Avas Hamon, Michael Mclaughlin, Thomas Weissling and Si-lin Yang
Aulacaspis yasumatsui (Hemiptera: Sternorrhyncha: Diaspididae), a Scale Insect Pest of Cycads Recently Introduced into Florida
https://www.jstor.org/stable/3495833
[4]
T. J. Weissling, F. W. Howard, and A. B. Hamon
CYCAD AULACASPIS SCALE, AULACASPIS YASUMATSUI TAKAGI (INSECTA: HEMIPTERA: STERNORRHYNCHA: DIASPIDIDAE)
https://edis.ifas.ufl.edu/publication/IN253
[5]
時広五朗
台湾産ソテツ苗木から発見されたソテツシロカイガラムシ(仮称)について
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902...
[6]
森づくり推進課森林技術総合センター
ソテツを加害するカイガラムシAulacaspis yasumatsuiの 国内初確認について(報告)
http://www.kpftc-pref-kagoshima.jp/kadai/Aulacaspi...
[7]
琉球新報2023年03月21日
ソテツを枯らす外来種の害虫、沖縄で初確認 国内で2例目 すでに防除も県が注意呼びかけ
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1680818.html
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